Beyond 5G/6Gを支える計量標準・較正技術ロードマップを発行
〜Beyond 5G/6Gの無線局運用を想定した現実的な開発・普及計画の策定を可能に〜
2024年5月20日
ポイント
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国立研究開発法人情報通信研究機構と国立研究開発法人産業技術総合研究所が共同で、Beyond 5G/6G(以下、B5G/6G)時代に利用が本格化するテラヘルツ帯(100 GHz〜)を含む周波数領域の計量標準および較正技術のロードマップを公表
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B5G/6Gシステムの無線局制度運用に必要な計量標準・較正サービスなどの開発計画を示すことで、B5G/6Gシステムの計画的な開発・普及スケジュール策定に貢献
背景

図 発行したロードマップ
B5G/6Gの実現には、無線機の研究開発だけではなく、無線機の性能を担保するために、我が国の計量標準に基づいた測定によって必要とされる無線機の性能を満足していることを証明する必要があります。このため、我が国では無線局免許を交付する際に無線機の性能を検査することを義務付けており、その検査に使う測定装置も適切に較正されている必要があります。NICTでは、無線局免許申請に必要なデータを取得するための測定装置に対して、電波法に基づく国内最上位の較正サービスを実施しています。測定装置の較正では、我が国の計量法の最上位機関である産総研で開発・維持・運用されている標準器など(※)を用いており、国際単位系(SI)にひも付けられた国際的に相互比較可能な校正を可能としています。
しかし、B5G/6Gでの利用が検討されているテラヘルツ帯(100 GHz〜)の一部の周波数帯(330 GHz〜)では、標準器や較正技術がまだ整備されていません。したがって、現時点では、330 GHzを超える周波数帯の電波を利用した無線通信システムを運用するための無線局の検査が困難な状況となっています。この他にも多くの産業ニーズがあり、B5G/6Gの実現に向けて、テラヘルツ帯の計量標準、較正技術および計測技術の確立が急務となっています。
※周波数についてはNICTも産総研と同等の国内最上位計量標準機関として、校正に必要な標準器を開発・維持・運用しています。
今回の成果
NICTと産総研では、B5G/6Gの実現に必要な計量標準および較正技術などのロードマップをまとめ、公開しました。
例えば、無線機の試験に必要な周波数計や電力計、スペクトラムアナライザの較正技術と較正に必要な標準器の研究開発について、周波数1.1 THzまで計画を立てました。いつ無線免許の申請が可能になるかを示すと同時に、無線機の開発・普及計画を検討する際のマイルストーンとして活用いただけるよう、線表としてまとめています。ロードマップは、パンフレットとして頒布されるほか、NICTと産総研のWebサイトからダウンロードが可能です。
今後の展望
NICTと産総研は、B5G/6Gを実現するための計測基盤技術として、計量標準および較正技術などの研究開発を進めていきます。
関連する過去の報道発表・お知らせ
(NICT)
- 2021年1月12日付け
高周波電力計(170 GHz〜220 GHz, 0.1 mW)の較正サービス開始のお知らせ
https://www.nict.go.jp/info/topics/2021/01/12-2.html - 2018年3月13日付け
テラヘルツ帯の精密な高周波電力測定を実現
〜300 GHz帯の高周波電力を計測する標準器を開発〜
https://www.nict.go.jp/press/2018/03/13-1.html - 2014年3月3日付け
170 GHzまでの超高周波電力計の較正サービスを開始
〜世界に先駆け、超高周波電力の正確な測定が可能に〜
https://www.nict.go.jp/press/2014/03/03-1.html
(産総研)
- 2023年12月13日付け
ポスト5G/6Gに向けたメタサーフェス反射板のテラヘルツ帯評価装置を開発
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2023/pr20231213/pr20231213.html - 2021年11月26日付け
自然にはない反射特性を示す140 GHz帯メタサーフェス反射板を開発
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20211126/pr20211126.html - 2020年6月21日付け
ポスト5G/6Gの低消費電力化に向けた超広帯域での材料計測技術
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2020/pr20200621/pr20200621.html - 2019年5月17日付け
超高精度平面回路計測技術により300 GHz帯で印刷配線の性能を評価
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20190517/pr20190517.html - 2016年12月13日付け
農産物の水分量を電磁波で簡便に計測する技術を開発
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20161213/pr20161213.html - 2014年3月3日付け
超高周波帯域での高周波電力計校正用の国家計量標準器を開発
−170 GHzでの精密な高周波電力測定が可能に−
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/pr20140303/pr20140303.html
用語解説
計量標準
測定器の校正を行うための基準となる物理量。我が国では、計量法で定められた特定標準器などが国家計量標準器として利用されているが、その基準は、度量衡の国際的な統一を目的としたメートル条約に基づく。我が国では産総研が計量法に基づいて、国内最上位の国家計量標準器を用いた校正サービスを提供しています。また、周波数については、NICTと産総研がそれぞれ、我が国の計量標準を維持・管理・供給している。
較正と校正
計量分野における“校正”とは、測定器などが示す測定値について、基準値からの差を確定する作業のことであり、一般的な用語の“校正”に対し、電波法では、同じ読みを持つ“較正”という漢字が用いられている。“較正”の本来の意味には、基準値からの差を確定する作業に加えて、測定器の表示値を正しい値に調整する作業が含まれる。しかし、通常、測定器を製造した業者以外が調整作業を行うことはなく、技術的には“較正”と“校正”は同じ作業を行っている。
較正サービス
電波を発射するためには、無線機の性能を検査し、免許を受けなければならないことが電波法によって定められている。無線機から発射される電波の強さ(空中線電力)や、周波数、スプリアス発射といった電波の質を測定するためには、あらかじめ較正された測定器を用いなければならない。NICTでは、電波法の規定により、無線局免許に必要な測定器の基準値を提供する国内最上位の較正サービスを実施しており、どちらの機関で検査しても公正な合否判定が得られるよう基準値を提供している。
テラヘルツ帯
電波(電磁波)の周波数帯を分類する名称の一つ。主に、100 GHzから10 THzの周波数帯を指す。B5G/6Gの実現に向けて、300 GHzを使った無線機の研究開発が積極的に進められている。なお、電波法では3 THzまでの電磁波を“電波”と定義している。
本件に関する問合せ先
国立研究開発法人情報通信研究機構
電磁波研究所 電磁波標準研究センター
E-mail: B5G-cal
ml.nict.go.jp
ml.nict.go.jp広報(取材受付)
国立研究開発法人情報通信研究機構
広報部 報道室
E-mail: publicity
nict.go.jp
nict.go.jp
国立研究開発法人産業技術総合研究所
ブランディング・広報部 報道室
E-mail: hodo-ml
aist.go.jp
aist.go.jp