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図1 「新常態」~「ICTを活用した非接触型社会」図2 サイバー空間と実空間が融合したサイバーフィジカルシステム■具体的研究開発:電波エミュレータ、時空間同期、超高速無線5Gにおいて、超高速大容量、低遅延、多数接続の実現がうたわれています。Beyond 5G / 6Gでは、これらすべてにおいて目標値が1桁程度更新され、さらに、ドローン・航空・宇宙・海洋といったところまでネットワーク拡張すること等が具体的な目標となってくると考えられます。このような技術的進展を背景にして、無線を使う/利用する機器数は指数関数的に増え、無線システムを設計・テストを行い、実装して使えるようにすることが、従来手法では甚だ困難になることが予想されます。極めて多数の無線機が狭い空間に密集している状況をこれまでどおりリアルで検証することは、検証に掛かる費用や時間だけを考えても合理的ではなくなってきてしまいます。そのため、このような検証をサイバー空間中で行えるようにすることによって、複雑な大規模システムや異種・同種システム間の干渉等の検証を効率的に行うことが考えられており、今年度から総務省電波資源拡大のための研究開発の中で「仮想空間における電波模擬システム技術の高度化に向けた研究開発(2020-2023)」が開始されています。個人がサイバー空間を通じて他の個人やロボット/アバターと協働していくには、実空間だけではなくサイバー空間を含めたCyber-Physical Systemにおける時刻同期が重要になってきます。また、これまで以上に正確な基準信号に基づく無線通信では、複数の端末や基地局などを連携させ、エネルギー的にも効率的な移動体通信システムを実現できる可能性があります。また、正確なタイミングに基づいて、離れた地点間において、あたかも遅延がないような同期した動作を実現できる可能性もあります。このような技術の基盤としてNICTでは、光格子時計、チップスケール原子時計、トレーサビリティ技術、無線双方向技術等の研究開発を進めてきています。Beyond 5G / 6Gではテラヘルツ帯を用いた100 Gbit/sの超高速無線の実現が国内外の研究機関が出版している白書にもうたわれています。NICT等からの積極的な貢献により2019年の世界無線会議では、300 GHz近傍及び400 GHz近傍での合計137 GHz幅が陸上固定/移動無線に特定化されました。これまでにない広帯域を無線通信に利用するということに国際的な合意に至ったことは極めて大きな進展であると言えます。NICTでは産学とも連携し、これまでに300GHz帯ハードウェアの研究や標準化(ITU-RやIEEE802)を進めてきています。また、100 Gbit/s級の無線を実現するにはコアネットワークの強化も必須です。マルチコアファイバーを用いた極めて高速な光ファイバー通信もこれまでに実現してきており、無線部分と合わせて100 Gbit/s級アクセス技術を実現できる基盤技術は既にそろっていると言えます。■今後の展望Beyond 5G / 6Gの目指す、実空間での通信網等をサイバー空間と融合させ「Society 5.0」の神経網の実現することは、新常態において空間的に分散した個人がICTを駆使して他の個人やロボット/アバターと協働し、いかなる時でも価値を創出し続けることを実現するための基盤となり得るものです。ここで述べたことを実現するためには、具体的に挙げた例だけでなく、その他様々な技術要素を融合させ、なおかつ国際的にも協調・合意を図りながら進めていく必要があり、多くの皆様と共同・協働して進めていきたいと思います。9NICT NEWS 2020 No.6

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