Beyond 5G / 6Gホワイトペーパー特集White Paper on Beyond 5G and 6G「Beyond 5Gの社会」を見据え布石を打つ現在、導入が始まりつつある通信インフラの新規格「5G」の、更に先を意味する「Beyond 5G」。我々の生活・産業・医療・教育・防災など、社会全般に大きな変化をもたらすとともに、日本の科学技術・産業戦略にとっても重要なキーワードとなっている。このBeyond 5Gの社会に向け、NICT内部、さらには外部とも連携をとりつつ、研究開発を加速する組織として2021年4月に発足したのが、Beyond5G研究開発推進ユニットである。その設立の経緯役割や、今後の展開などについて、Beyond5G研究開発推進ユニットの寳迫巌ユニット長、同ユニット傘下のBeyond5Gデザインイニシアティブの石津健太郎イニシアティブ長の二人に話を聞いた。■Beyond5G研究開発推進ユニットの組織と役割――この4月、第5期中長期計画のスタートとともに発足した、Beyond5G研究開発推進ユニットについて、その役割や設立の経緯について教えていただけますか。寳迫 NICTの第5期中長期計画では、戦略的に進めるべき研究4領域(戦略4領域)として「AI」「Beyond 5G」「量子情報通信」「サイバーセキュリティ」を掲げています。このうちのひとつであるBeyond 5Gについて、NICT全体が行う研究の司令塔として新設された組織が、Beyond 5G研究開発推進ユニットです。 他の戦略4領域は、AIにしろ量子情報通信にしろ、個別の組織がおおよそ一対一で対応できるのですが、Beyond 5Gは関わる技術領域が非常に広く、NICT全体で対応していく必要があります。そこで、いわば領域ごとの各組織に横串を通す形で、全体をうまく取りまとめていくというのが、我々に期待されている役割と言えます。 設立に至る具体的な動きとしては、もともとはNICTとして、Beyond 5Gの研究開発の推進を図ることを目的として、それによって実現する社会の姿やユースケース、そこで必要な要素技術や研究開発のロードマップについて、有志が集まり議論が行われてきました。この議論は、結果的にはホワイトペーパーとしてまとめられ、2021年3月に「Beyond 5G / 6G White Paper(1.0版)」として公開されています。 そしてこの議論と同じ時期、NICTの第5期中長期計画の策定も進められており、組織としての設立もそこで並行して寳迫 巌(ほうさこ いわお)Beyond5G 研究開発推進ユニット長/テラヘルツ研究センター長1996年郵政省通信総合研究所(現NICT)入所。テラヘルツ技術の研究開発としてデバイス、カメラ、無線通信、標準化に従事。博士(理学)。石津 健太郎(いしづ けんたろう)Beyond5G研究開発推進ユニットBeyond5Gデザインイニシアティブ イニシアティブ長大学院博士後期課程修了後、2005年に情報通信研究機構 入所。コグニティブ無線、ホワイトスペース通信、ローカル5G等の自営無線システム等の研究開発に従事。国際規格の標準化活動や国際的な実証試験に取り組む。現在は、Beyond 5G研究開発の戦略立案や情報発信を主導。電子情報通信学会スマート無線研究専門委員会 副委員長。博士(情報科学)。1NICT NEWS 2021 No.6
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