国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、高度通信・放送研究開発委託研究として令和6年度から新たに研究開発を開始する3課題について、学識経験者で構成される評価委員会での評価等を踏まえ、下記のとおり採択しました。
1. 研究開発課題に対する提案課題と提案者
(1) 完全自動運転のための高性能かつ高信頼な車載光ネットワーク基盤技術の研究開発(課題番号237)(1件を採択)
■提案課題:コヒーレント光フレームスイッチ方式を用いた車載通信システムの拡張性向上と省電力化に関する研究開発
提案者:学校法人慶應義塾(代表提案者)、古河電気工業株式会社、公立大学法人滋賀県立大学、国立大学法人東海国立大学機構、国立大学法人大阪大学、株式会社ファストリンクテック
概要:将来の完全自動運転を支える、革新的な「高性能かつ高信頼な車載光ネットワーク」の基盤技術を開発する。石英系シングルモード光ファイバを用いた「高速・大容量」、ゾーン分割構成と任意な帯域割り当てによる「多数・任意接続性」、マスター装置の単一光源による絶対的な「高信頼性(長寿命)」、全光フレームスイッチ方式による「極低遅延」、電気スイッチ代替による「省電力」、非対称通信に対応するネットワーク構成、光の差動信号を用いた「高EMC性能」、各ゾーンに配置されたゲートウェイ装置の簡素化とスリープモードによる「極低消費電力」、および、極低損失光位相変調器を用いたネットワークの「拡張性」を兼ね備え、従来技術を大幅に凌駕する性能及び信頼性を実証する。
(2) 高信頼データ流通のための非集中型ネットワーク内ストレージ及びアプリケーションの研究開発(課題番号238)(1件を採択)
■提案課題:非集中型ネットワーク内ストレージフレームワークを用いた医療・ヘルスケア領域における高信頼データ流通アプリケーションの提案および実装
提案者:国立大学法人大阪大学(代表提案者)、一般社団法人臨床医工情報学コンソーシアム関西
概要:本研究は、ブロックチェーンとスマートコントラクト技術を活用した非集中型ネットワーク内ストレージフレームワークの設計・開発を行い、特に医療・ヘルスケア分野での高信頼データ流通を実現することを目指している。具体的には、パーソナルヘルスアプリケーション(PHRアプリ)を開発し、実証実験を通じてその信頼性と効率性を評価する。構築するシステムは、NICTセキュアオフチェーンストレージの構成要素であるIPFS(分散ファイルシステム)、UCINK(セキュアネットワーク内ストレージ)、およびNFT(非代替性トークン)を利用し、効率的なデータ検索とアクセス制御を実現する。
(3) 短距離超高速光ファイバリンクのための超高速並列レーザ光源技術の研究開発(課題番号239)(1件を採択)
■提案課題:短距離超高速光ファイバリンクのための超高速面発光レーザアレイの研究開発
提案者:国立大学法人東京工業大学(代表提案者)、富⼠フイルムビジネスイノベーション株式会社
概要:超高速かつ、大規模2次元集積可能な面発光レーザの実現を目指し、チャンネル当たり200 Gbps以上の高速化を実現するとともに、アレイ化による10 Tbps級面発光レーザアレイ実現への道筋を明らかにする。さらに、多値変調と信号処理技術により、チャンネル当たりの変調速度を400 Gbpsに拡張する高速化の基盤技術を開発する。また、単一モード光ファイバアレイとの高効率光結合を可能とする32ch以上の高均一面発光レーザアレイの開発を行うとともに、機構の自主研究と連携して、2次元アレイと単一モード光ファイバアレイの一括接続、単一モード光ファイバによるキロメートル級超高速光リンク伝送を実現する。
2. 公募等の概要
上記の課題237、238、239については、令和6年5月31日(金)から同年7月1日(月)まで公募を行いました。公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。